びよういん

かなぼうちゃんは 二歳を過ぎたころから 
つまり自閉の症状が つよく出はじめたころから
美容院 という場所で 髪を切ることがむずかしくなった。
もっと小さいときは だましだまし、とか 寝てるあいだに、とか
できたのだけど だんだん嫌がって抵抗する力も強くなり
もう 店でカットするのは無理だ、とあきらめていた。
なので もう二年以上美容院には行かず 家で しかも風呂で 私が適当に切っていた。
しかし 男の子、しかも動くので どうにもむずかしい。
耳を出すカットができなくて いつも女の子みたいな髪型で過ごしてきた。
しかし ここのところ ホメオパシー効果もあり 外出先でも
かなり落ち着きをみせている かなぼうちゃん。
もしかしたら そろそろ美容院 いけるんちゃうん? と ふと思い立ち
予約の電話を入れてみた。 私が先日はじめて行った美容院。
いろいろ事情を話して、もしどうしても嫌がったら その時はあきらめますので・・・と
約束して りんりんと二人で同時カットしてもらえるように 予約をいれた。
そして今日が その日。
最初は 案の定 店に入ることも抵抗していたが 思ったよりも すんなり店内に。
しかし いざ鏡の前へ案内されるも 断固拒否。 美容師さんたちの顔にも
こりゃ、無理じゃないかい? という表情がちらほら。
しかし そこですかさず 今回持ってきた秘密兵器を取り出す私。
ノートPCに かなぼうちゃんお気に入りのDVD(ピンクパンサー)をセットして再生。
それをエサにして ほれほれ、と鏡の前まで誘導し すんなり椅子に座らせることに成功。 
そこから先は 多少の抵抗はありつつも DVDを鑑賞しながら ちゃんと我慢して
いい子にカットされていた。泣いたりもせず むしろDVDが楽しすぎて興奮してしまい
ゲラゲラ笑ってうるさいほどだった。
なんだかおサルさんのように短くなってしまったが とってもすっきり。
えらい子 かなぼうちゃん。

一方 となりでカットしてもらっていた りんりんは かなぼうちゃんが暴れだしたらどうしよう、と
気が気じゃなかったらしく 終わって美容院を出たときには ぐったりと憔悴しきっていた。
でも かなぼうちゃんが頑張ったことが とてもうれしいらしく
「すごーい!!えらーい!! かわいいーっ!!」 と抱擁しまくり。
アホなことばかりやってる姉だけど いつのまにかしっかりお姉さんになっちゃっているのだなぁ と
感慨ぶかく 涙ぐむ母なのでした。 ふたりとも いいこいいこ。