読了

悪人

悪人

この著者の作品ははじめて読んだ。
ぐいぐいと一気に読ませる筆力が素晴らしい。


「悪人」っていったいなんだろう。


これを読んでるあいだ テレビではのりぴーのニュース三昧。


なにをもって「悪」とするのか。
法にふれなければ よいのか。ふれてないもん勝ちか。
人が人を糾弾するのってどうなのか。


いろいろと考えさせられる。




この本の中で とくにこころに残ったのは 娘を殺された父親の言葉。

「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。
大切な人がおらん人間は、なんでもできると思いこむ。
自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。
失うものもなければ、欲しいものもない。
だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思いこんで、
失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。
そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ。」

ここで父親が語る「大切な人」というのは
『その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人』のこと。


大切な人がいるというのは 人を強くもさせるし弱くもさせる。
カッコ悪かったりみっともないことになったりもする。
でも やっぱり大切な人がいるって しあわせなことだ。
せっかく人としてこの世に生まれてきたのだから
カッコ悪くてもみっともなくても 一喜一憂しながら生きていくのだ。


のりぴーにだってきっと 大切な人がいるはずなのだ。