読了
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/04/06
- メディア: 単行本
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ぐいぐいと一気に読ませる筆力が素晴らしい。
「悪人」っていったいなんだろう。
これを読んでるあいだ テレビではのりぴーのニュース三昧。
なにをもって「悪」とするのか。
法にふれなければ よいのか。ふれてないもん勝ちか。
人が人を糾弾するのってどうなのか。
いろいろと考えさせられる。
この本の中で とくにこころに残ったのは 娘を殺された父親の言葉。
「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。
大切な人がおらん人間は、なんでもできると思いこむ。
自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。
失うものもなければ、欲しいものもない。
だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思いこんで、
失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。
そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ。」
ここで父親が語る「大切な人」というのは
『その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人』のこと。
大切な人がいるというのは 人を強くもさせるし弱くもさせる。
カッコ悪かったりみっともないことになったりもする。
でも やっぱり大切な人がいるって しあわせなことだ。
せっかく人としてこの世に生まれてきたのだから
カッコ悪くてもみっともなくても 一喜一憂しながら生きていくのだ。
のりぴーにだってきっと 大切な人がいるはずなのだ。