江國香織「思いわずらうことなく愉しく生きよ」

思いわずらうことなく愉しく生きよ

DV問題などを扱っているにもかかわらず
まったく どんよりとした重苦しい空気を感じない。
むしろ 清々しく感じるほど。
それをつまらなく思う人もいるだろうけど
私はやっぱり 江國ワールドのそんなところが すごくすき。


江國さんが描く姉妹の話は面白い。
やっぱり自身が姉妹でなければ 書けない世界だと思う。


3姉妹の中では 私は育子がすきだ と思った。
治子はあんまりすきではないけど いちばん現実にいそうなタイプだ。


麻子と邦一。
邦一のような夫は 現実にもきっといるんだろうなーと思うけど
麻子のような妻は。。。いるのだろうか。ちょっと想像つかない。


邦一がどうして あんなふうになってしまったのか
その生い立ちとか そういったことにはふれていない。
でも それが書かれてないことが かえって好ましく感じた。
本編にはひつようのないことだから。


いろいろ想像の余地が残されている小説は たのしい。


それにしても このタイトル。
すばらしい。
終わり方もすばらしく 映画のよう。
あとこの装幀もだいすき。


読み応えあり。満足。