長嶋有「猛スピードで母は」

猛スピードで母は (文春文庫)
面白かった。 長嶋有さんの作品は初めて。
すきな空気感だ。
表題作より「サイドカーに犬」の方が好きかな。
「猛スピードで母は」の中で 小学生の慎が いじめをうけるようになったところで

もちろんいじめは嫌だったが、先生にも母にも相談はしなかった。
したいのにできないのではなく、相談するという考えが浮かばないのだった。

というのが なんかすごく わかる、と思った。
こどもって そういうものだ と思う。

慎は歯をみがきながら洗濯機の泡をみつめた。中の水は渦を巻いているが、
上に膨れ上がった泡はまわっているのかいないのか分からない。

という文があるが この『洗濯機の泡』が この物語の象徴かなぁ、と何となく思った。