葛木ドールとモヘアはどこいった

告白

告白

読了。
これはすごい。大傑作であった。
河内音頭のスタンダードナンバー「河内十人斬り」をモチーフに書かれたという。
ものすごい分量(676ページ)ではあるが
この小説のテーマである「人はなぜ人を殺すのか」ということ
主人公 熊太郎がそこに至るまでの出来事とそのとき何を思考して何を言葉にしてどう行動したのか
それらがすべて書かれているからこそ これだけの分量なのだけれども
それでも熊太郎の本当の本当の本当のところの「思い」は 
どんなに心の底を探っても 結局最後まで 本人にすらわかることはなく それが ただただ哀しい。
熊太郎の最後の言葉に 本を閉じたあとも涙がとまらなかった。
大量殺人をおかした熊太郎弥五郎と
殺された人間たちとでは いったいどっちが悪いのか。
人の心の本当の本当の本当のところは 誰にもわかることはない。当人にすらわからないのだから。


熊太郎にとって宝石のような存在である弥五郎がいたことが ほんとうに救いだった。よかった。