読了本

ミーナの行進

ミーナの行進

小川洋子さんの本は「博士の愛した数式」だけ持っているのだけど
じつは途中で挫折した。
なぜかというと 私は数式というものをみると思考が停止して気絶する性質であるためだ。
それでも ずっと小川洋子さんの本を読みたいという気持ちは持ち続けていて
(なんでかわからないけど あこがれの先輩を思うような気持ち)
この「ミーナの行進」が出たときも 装丁、挿画の素晴らしさに
本屋で見かけるたびにうっとりと手にとって眺めては元の場所に戻すということを繰り返していて
(なぜ買わないかというと やはり数式で挫折したことがひっかかっている)
このたび図書館でひさしぶりに見かけて 「わぁ」と喜んで借りてきた次第。
そんなことはまあどうでもよいのだけど これがまたじつによかった。
私の中で小川洋子さんの本のイメージは 
上品で静謐でちょっと冷たいようなさびしいような無機質なかんじ だったのだけど(読んでもいないのに)
上品は上品なんだけど この作品はとてもやわらかな暖かさと慈愛のようなものが満ち溢れていて
とにかく文章が美しい。私の陳腐な想像力をじゅうぶんにカバーしてくれるほどの素晴らしい表現力で 
ひとつひとつの光景が私の脳裏にとてもリアルに展開されて その美しさに泣きたくなるほどであった。
他の作品も読んでみようと思う。(数式はもうちょっとあとにしておく)