読了

ロードムービー

ロードムービー

「冷たい校舎の時は止まる」の登場人物たちの過去、未来。
この作者はこんなふうにそれぞれの作品に横のつながりをもたせて書くパターンが多いらしい。
スロウハイツの神様」の中で作家である登場人物(コーキ)が語っていたことを思い出す。
「自分が書いた作品の登場人物たちの人生にきちんとおとしまえをつけたい」みたいなこと。
それはそのまま辻村さんの気持ちでもあるのだろうなぁ。

太陽の坐る場所

太陽の坐る場所

一晩で一気に読んでしまった。それだけ読ませる力があると思う。
この作品の中には好きだなぁと思う人物はあまりいないのだけど
(しいていえばキョウコかな)
この本を読んで いろいろ考えさせられた。
なにかに「囚われる」、ということが人を苦しくさせる。
その苦しさを解消しようとして 人は人を傷つけたり 自分を傷つけたりしながら
どうにかふんばって生きている。
でも本当は 誰かが誰かを傷つけているのではなくて
なにかに囚われている自分の心が そう感じさせているだけなのだろう。
自分が何に囚われているのか 「傷ついた」と感じたときに はじめて知ることができる。
傷をつけられたのではなく 最初から自分の中に持っていた傷。
そこに目をむけるのはこわいことだ。
だから目をそむけたくて それを怒り、憎しみにかえてしまうことで 
なんとか自分を保とうとするのかもしれない。
でも自分の傷をしっかりと見つめる目を持てたなら それはもうこわいもんなしだ。

なにかに傷つき、怒り、憎しみの感情を覚えそうなときには
自分がいったい何に囚われているのかを考えてみよう。


そんなふうなことを つらつらと考えた夏の夜。